遺影

父の友人が亡くなった。
61才だった。

わたしがその方に最後に会ったのは2月。
ほんの4、5カ月前。
ガンがどんどん進行してしまったらしい。

その人は小さいころからよく家族ぐるみで仲良く、
その人はわたしや兄妹も可愛がってくれた。


会うと、いつも言うことは変わらなかった。
「お父さん大事にしろよ」
「早く結婚してお父さん安心させてやれよ〜」
とかそういうこと。ニヤニヤしながら言うのだ。
そう考えれば20年以上か。

わたしが思春期の時には苦手だったけど
今思えば、照れくさいような事をサラッと言えることが
すごいなと思う。
そして言う事はぜんぶ、なかなか素直に返事できないぐらい
まっすぐで、当たり前のことだった。
すごく優しい人だった。


お通夜に行った。
その人の家族はお父さんの姿を見て、こみ上げていた。

遺影ってどうしてあんなにいい顔なんだろうか。
穏やかで仏みたい。
「ありがとね」って言ってるような。
ここに来てる人に向けて撮ったような顔してる。


見つめていると泣けてきた。
お父さんは古い友人を亡くしたのだから、相当つらいだろう。
受け入れられていないのかも知れない。

人は死ぬのか。
当たり前のように居た人もこうやって死ぬのか。
そうかそうだよ。
笑ったり、涙を流すことや、おいしいもの食べたり
感動したり、悔しくなったり、疲れた〜とか
誰かを愛しいと思うことも
全部消えちゃうのか。

家に帰っても、わたしはまだ信じられない。
実家に行ったらフラッと来ていそうで。

どうもありがとうございました。
いなくなると知ると、無性に会いたくなります。

悲しいけれど、いろいろな事を考えます。
おやすみなさい。